静かな炎症が、加齢を加速!?――インフラメイジング(インフラマエイジング)
インフラメイジングとは
インフラメイジング(inflammaging)とは、加齢とともに体内で続く慢性の、弱い炎症状態のことです。
インフラメイション(炎症)+エイジング(加齢)の合成語で、「インフラマエイジング」という言い方もします。
炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α、CRPなど)の体内での持続的な増加は、筋力低下や臓器機能の衰えだけでなく、記憶力の低下や気分の落ち込み、やる気の減少といった精神面の問題にも関係していることが研究で明らかになっています。(※注1)
ロンジェビティ研究と炎症コントロール
健康で長く生きることをめざすロンジェビティ(Longevity)研究では、炎症のコントロールつまりインフラメイジングを抑えることが極めて重要だと考えられています。慢性炎症をコントロールできれば、認知症やうつ病のリスクを減らし、意欲や集中力の維持につながるという研究結果があります。
とくに腸内の善玉菌(ビフィズス菌など)が炎症を抑えて脳を守る役割を果たすことがわかっています。(※注2)
世界の富豪たちが支援する最先端研究
世界の著名投資家たちもこの分野に注目しています。
たとえばAmazon 創業者のジェフ・ベソス氏は、アンチエイジング企業「アルトス・ラボ」に数十億ドル規模の資金を投じたと報じられています。
同社は生物学的リプログラミングという、山中伸弥教授(2012年ノーベル生理学・医学賞)によって2006年に発見された技術を用いて細胞を若返らせる研究を進めているとのことです。(※注3)
インフラメイジング対策は日常から
最先端の治療技術が実用化されるには時間がかかりますが、生活習慣の改善でも炎症は抑えられることが多くの研究で示されています。
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食事
魚・オリーブオイル・ナッツ・野菜・果物は炎症マーカー(CRPなど)を低下させると言われています。(※注4)
またヨーグルトなどの発酵食品は、プロバイオティクスによる腸内環境改善で全身の炎症を低減する可能性があります。(※注5) -
運動
有酸素運動や筋トレは筋肉から抗炎症性のマイオカインを分泌し、炎症を抑える可能性があることがわかっています。 -
睡眠とストレス管理
慢性的な睡眠不足やストレスは炎症を増大させるため、規則正しい休養も重要となります。
美容から見たインフラメイジング
炎症は肌の老化を促進し、シワやたるみの原因になります。抗炎症成分の摂取や腸内環境の改善が、肌の健康や若々しさの維持に効果的です。
慢性的な炎症や紫外線刺激は、皮膚においてコラーゲンを分解するプロセスを活性化することが研究で示されています。(※注6)
そのため、アンチエイジング化粧品や美容医療でも、抗炎症アプローチが注目されています。
インフラメイジング抑制に関わるサプリメント
インフラメイジングの抑制と関連して注目されている成分・栄養素は以下の通りです:
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タウリン
タウリンの補給により加齢マーカー(細胞老化、テロメラーゼ欠損など)の改善、認知機能向上、慢性炎症の抑制が認められています。(※注7) -
レスベラトロール(ポリフェノール)
抗酸化作用と抗炎症作用が、神経保護や気分の安定につながります。 -
クルクミン
炎症を抑えて細胞の老化を防ぎ、活性酸素から体を守ります。
さらに、記憶力や認知機能の改善、肌の若返りにも役立つことが最新の研究でわかっています。(※注8) -
ウロリチンA
ミトコンドリアを活性化し、細胞の老化や炎症を和らげる可能性が示されています。(※注9) -
ビタミン D
炎症を調節し、うつの予防や認知機能の維持に効果的です。 -
腸内環境を整える成分(プロバイオティクス、プレバイオティクス)
腸内の善玉菌を増やし、脳への炎症の影響を抑えます。 -
テロメラーゼ活性化因子(TA-65)
細胞の老化を抑え、認知機能維持に関わります。
TA-65投与により免疫細胞の若返りとともに、炎症マーカー(CRP)が62%低下し、安全に炎症制御を促進することが示されています。(※注10)
まとめ
「炎症を抑えることは、若さを守ること」。インフラメイジングは体と心の健康に大きく関わっています。生活習慣の見直しと効果のある栄養成分の摂取で炎症を抑え、健康長寿と心の安定を目指しましょう。
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※本記事は教育・情報提供を目的としたもので、医療行為や特定成分の摂取を推奨するものではありません。サプリメント使用や治療については必ず医療専門家にご相談ください。
※出典1:
Mac Giollabhui et al., "Role of inflammation in depressive and anxiety disorders," Molecular Psychiatry, 2025.
※出典2:
Qu L. et al., "Microbiota-Gut-Brain Axis Dysregulation in Alzheimer's Disease: Mechanisms and Potential Therapeutics," Frontiers in Aging Neuroscience, 2024
※出典3:
"Billionaires are betting on anti-ageing research, but can ageing really be cured?" Yahoo! Finance, 2024.
※出典4:
Harvard T. H. Chan School of Public Health, "Anti-Inflammatory Diet and How to Get Started," 2023.
※出典5:
Brown A. et al., "Probiotics and systemic inflammation," Frontiers in Immunology, 2025.
※出典6:
Salminen et al., 2022; Calvo et al., 2024; Wan et al., 2021.
※出典7:
Singh P. et al., "Taurine deficiency as a driver of aging," Science, 2023.
※出典8:
He Y. et al., "The beneficial effects of curcumin on aging and age-related diseases," Frontiers in Aging Neuroscience, 2025.
Izadi M. et al., "Longevity and anti-aging effects of curcumin supplementation," Frontiers in Pharmacology, 2024.
※出典9:
Peng Chen et al., "Methylated urolithin A mitigates cognitive impairment by inhibiting NLRP3 inflammasome and ameliorating mitochondrial dysfunction in aging mice," Neuropharmacology, 2024.
※出典10:
Bhavan Bawamia et al., "Activation of telomerase by TA-65 enhances immunity and reduces inflammation after myocardial infarction: a double-blinded randomized controlled trial," GeroScience, 2023.
